気のせいであってほしかった。そう思う気持ちが強くて、僕は三射目を眺める。しかし先程と同じように会に入った瞬間、離れてしまう。
僕は受け入れるしかないと思った。どうして病気なんてものがあるのかと思った。楽しいことは、楽しいだけで十分じゃないか。弓道をして、嫌になる出来事なんてなくなってしまえばいいのにと心の底から思う。
早気なんて、なくなってしまえばいいのに。
「さあ、今日は高校生のお兄さん方が来てくれたぞ。これから休日と祝日に来てくれるから、みんなも学べることはしっかり吸収しよう」
真矢先生に簡単な紹介をしてもらった後、僕達は中学生の皆に一人ずつ自己紹介した。高瀬は中学生からも人気で、特に女子からの黄色い声援が凄かった。古林は自らの名前を言うだけで、そのまま無言を貫き通した。中学生の皆も反応に困っている様子だった。そして僕の番がきた。
「初めまして。真弓一です。松草中学は僕の母校であり、みんなと同じで弓道部に入ってました。よろしくお願いします」
簡単に挨拶を終えた僕は、改めて皆を見渡す。皆の視線が僕に注がれているようだった。妙な空気に、思わず一歩後ずさりしてしまう。重い空気が漂う中、真矢先生が口を開いた。
「みんなも知っていると思うけど、真弓君は当時の全国大会個人戦で二連覇した経験があるんだ。弓道が上手いから、みんなもわからないことは教えてもらおう」
真矢先生は笑顔で言い放った。正直僕にとっては全国大会二連覇なんて誇れることではなかった。過去の栄光に縋り付いているみたいでいい気がしない。今の自分を知っているからこそ余計に腹が立つ。
「それじゃ、みんなもう一度立に入ろうか。今度はお兄さんたちに見てもらおう」
「「はい!」」
皆が声を揃えて返事をする。中学生の無邪気さがとてもかわいい。僕も弓道に取り組む中学生と同じ気持ちでいたいと思った。
真矢先生の指示に従い、再度立に臨む中学生を僕達は見ることにする。高瀬は初心者ということで、先頭の立の前に座らせて見取りをさせる。弓道では他人の形を見る「見取り稽古」がある。見取りでは先輩や同級生、後輩の形を見て、いいところを吸収していく。目の前で高瀬に見られている女の子は、照れているようにも見えた。
僕は受け入れるしかないと思った。どうして病気なんてものがあるのかと思った。楽しいことは、楽しいだけで十分じゃないか。弓道をして、嫌になる出来事なんてなくなってしまえばいいのにと心の底から思う。
早気なんて、なくなってしまえばいいのに。
「さあ、今日は高校生のお兄さん方が来てくれたぞ。これから休日と祝日に来てくれるから、みんなも学べることはしっかり吸収しよう」
真矢先生に簡単な紹介をしてもらった後、僕達は中学生の皆に一人ずつ自己紹介した。高瀬は中学生からも人気で、特に女子からの黄色い声援が凄かった。古林は自らの名前を言うだけで、そのまま無言を貫き通した。中学生の皆も反応に困っている様子だった。そして僕の番がきた。
「初めまして。真弓一です。松草中学は僕の母校であり、みんなと同じで弓道部に入ってました。よろしくお願いします」
簡単に挨拶を終えた僕は、改めて皆を見渡す。皆の視線が僕に注がれているようだった。妙な空気に、思わず一歩後ずさりしてしまう。重い空気が漂う中、真矢先生が口を開いた。
「みんなも知っていると思うけど、真弓君は当時の全国大会個人戦で二連覇した経験があるんだ。弓道が上手いから、みんなもわからないことは教えてもらおう」
真矢先生は笑顔で言い放った。正直僕にとっては全国大会二連覇なんて誇れることではなかった。過去の栄光に縋り付いているみたいでいい気がしない。今の自分を知っているからこそ余計に腹が立つ。
「それじゃ、みんなもう一度立に入ろうか。今度はお兄さんたちに見てもらおう」
「「はい!」」
皆が声を揃えて返事をする。中学生の無邪気さがとてもかわいい。僕も弓道に取り組む中学生と同じ気持ちでいたいと思った。
真矢先生の指示に従い、再度立に臨む中学生を僕達は見ることにする。高瀬は初心者ということで、先頭の立の前に座らせて見取りをさせる。弓道では他人の形を見る「見取り稽古」がある。見取りでは先輩や同級生、後輩の形を見て、いいところを吸収していく。目の前で高瀬に見られている女の子は、照れているようにも見えた。