週明けの月曜日。普段と変わらず学校に登校した。始業の三十分前には自席に着くようにしている。今日も普段通り授業を受け、家に帰る。帰った後に凛に教える時間を設けるだけで、普段の生活に支障はない。いつも通りの時間が過ぎていくと思っていた。
「真弓君!」
教室に着くなり、僕の名前を盛大に叫んできた好青年。颯爽と僕の前に現れたのは、同じクラスの高瀬だった。
「高瀬君……朝から元気だね」
高瀬は嬉しそうに笑顔を見せた。高瀬颯太。甘いルックスの持ち主で、入学当初から人気を博するイケメン。その爽やかな印象から、同級生の間では「爽やか王子」という異名までつけられている。
「昨日と一昨日なんだけど、弓道の新人戦が大宮公園であったんだよ。そこで楠見さんが四射一中の活躍をしたんだ。すごいよね」
「う、うん。それはすごいね」
思わず僕は苦笑いを浮かべる。高瀬の勢いに押され、自分もその場に居たことを言い出せなかった。
「楠見さん、本当に美しかった。そうそう、楠見さんが打起し前、俺に向けて笑顔を見せてくれたんだ。あんな楠見さんを見たのは初めてだよ」
よかったねと、僕はとりあえず相槌を打った。目の前で幸せそうに凛の話をする高瀬に忠告しておきたかった。あの笑顔は高瀬に向けたものではないと。
「本当に高瀬君は凛が好きなんだね」
「ちょ、ちょっと。誰かに聞こえたら不味いだろ」
ストレートに高瀬の気持ちを代弁すると、目の前の高瀬は頬を染めて照れている。凛の話をすると、高瀬はいつも顔がにやける。こんな高瀬の顔を知ることになったのは夏休み前だった。
入学して二ヶ月が経ったある日、高瀬が僕に話しかけてきた。入学当初から同級生に人気があり、クラスでも人気上位層にいる人。そんな高瀬が、どうして冴えない僕なんかに話しかけてきたのか。はじめは理由がわからなかった。それでも、しばらく話していると何となくわかってきた。高瀬は凛のことが好き。おそらく僕と絡んでいれば、凛と接近できると思っているのかもしれないと。
「そうだ、高瀬君なら知ってるかもしれない」
「何かな?」
「男子弓道部って、対外試合禁止中だよね?」
「うん」
「そんな状況下でも、部活に残っている部員が一人いるって聞いたんだけど。誰だかわかる?」
弓道にやたらと詳しい高瀬なら知っているかと思い、質問してみる。話も弾むし話題になると思った。
「真弓君!」
教室に着くなり、僕の名前を盛大に叫んできた好青年。颯爽と僕の前に現れたのは、同じクラスの高瀬だった。
「高瀬君……朝から元気だね」
高瀬は嬉しそうに笑顔を見せた。高瀬颯太。甘いルックスの持ち主で、入学当初から人気を博するイケメン。その爽やかな印象から、同級生の間では「爽やか王子」という異名までつけられている。
「昨日と一昨日なんだけど、弓道の新人戦が大宮公園であったんだよ。そこで楠見さんが四射一中の活躍をしたんだ。すごいよね」
「う、うん。それはすごいね」
思わず僕は苦笑いを浮かべる。高瀬の勢いに押され、自分もその場に居たことを言い出せなかった。
「楠見さん、本当に美しかった。そうそう、楠見さんが打起し前、俺に向けて笑顔を見せてくれたんだ。あんな楠見さんを見たのは初めてだよ」
よかったねと、僕はとりあえず相槌を打った。目の前で幸せそうに凛の話をする高瀬に忠告しておきたかった。あの笑顔は高瀬に向けたものではないと。
「本当に高瀬君は凛が好きなんだね」
「ちょ、ちょっと。誰かに聞こえたら不味いだろ」
ストレートに高瀬の気持ちを代弁すると、目の前の高瀬は頬を染めて照れている。凛の話をすると、高瀬はいつも顔がにやける。こんな高瀬の顔を知ることになったのは夏休み前だった。
入学して二ヶ月が経ったある日、高瀬が僕に話しかけてきた。入学当初から同級生に人気があり、クラスでも人気上位層にいる人。そんな高瀬が、どうして冴えない僕なんかに話しかけてきたのか。はじめは理由がわからなかった。それでも、しばらく話していると何となくわかってきた。高瀬は凛のことが好き。おそらく僕と絡んでいれば、凛と接近できると思っているのかもしれないと。
「そうだ、高瀬君なら知ってるかもしれない」
「何かな?」
「男子弓道部って、対外試合禁止中だよね?」
「うん」
「そんな状況下でも、部活に残っている部員が一人いるって聞いたんだけど。誰だかわかる?」
弓道にやたらと詳しい高瀬なら知っているかと思い、質問してみる。話も弾むし話題になると思った。