「もう時間になるから。」

「そうだね。」

「うん。」

今日でお別れだというのに、会話が出てこない。

いつもは猫の姿に戻るシロも何故か人間の姿のまま。

「陽菜……目を瞑っててくれない?」

「えっ?あっ、いいけど。」

言われた通りに目を瞑ると

「好きだよ、陽菜。」

そう言われて、一瞬唇に暖かい感触を感じた。

驚いて目を開けるとシロは猫の姿へと戻っていた。