「社と御神体を焼かれて自由になったわしは、すぐに明空の身体に乗り移り、蘇生を試みた。
だが心臓停止による臓器への血流不全とそれに伴う、体内の酸欠。
そして酸欠によって最も損壊したのが……」
「脳か……」
各務が呻くように呟く。
「そうだ。他の臓器なら時間を掛ければ回復できる。だが、心が宿る脳は人間の自力だけでは回復困難だった……。現に、明空は父親の顔を思い出せないと言っていたが、あれは一種の記憶障害だ。“命”を意味する阿修羅が明空の身体機能を強化・拡張することでこれ以上の記憶と脳の機能低下を防いでいる。明空の“心”を回復させるためだ」
「だから!?だからあんたはお嬢に取り付いたまま“身体”だけを操り人形みたいに動かしていたと言うのか!?
彼女には死んでいることを隠したまま!」
「真実を話すつもりはない!この先もずっとだ!
明空の《清き心》と《浄めの手》によって【阿修羅】の力が完全に満ちれば脳を完全に回復させる方法も見つかるかも知れん!
わしが明空から離れてもこの娘は元通り元気に生きて行けるのだ!」
だが心臓停止による臓器への血流不全とそれに伴う、体内の酸欠。
そして酸欠によって最も損壊したのが……」
「脳か……」
各務が呻くように呟く。
「そうだ。他の臓器なら時間を掛ければ回復できる。だが、心が宿る脳は人間の自力だけでは回復困難だった……。現に、明空は父親の顔を思い出せないと言っていたが、あれは一種の記憶障害だ。“命”を意味する阿修羅が明空の身体機能を強化・拡張することでこれ以上の記憶と脳の機能低下を防いでいる。明空の“心”を回復させるためだ」
「だから!?だからあんたはお嬢に取り付いたまま“身体”だけを操り人形みたいに動かしていたと言うのか!?
彼女には死んでいることを隠したまま!」
「真実を話すつもりはない!この先もずっとだ!
明空の《清き心》と《浄めの手》によって【阿修羅】の力が完全に満ちれば脳を完全に回復させる方法も見つかるかも知れん!
わしが明空から離れてもこの娘は元通り元気に生きて行けるのだ!」