「こっちは3人で、この娘をやれば向こうは残り2人だ。楽勝だな」

「各務め!この短時間にあっという間に5人もやられおって!不甲斐ない奴め!明空!わしらだけで、この場を切り抜けるぞ!早よう撃て!」

「は!はい!」

明空は言われた通り、ベレッタM92の引き金を引いた。

しかし──

カシャン!カシャン!

「あ、荒神さま!弾が!弾が出ません!」

「チッ!ジャミングか!?これだからオートマチックは困る!!」

荒神は手馴れた殺し屋のようなセリフで、自動拳銃の弾詰まり事故を呪う。

「あらら?弾出ないの?なら、さっさと退場しろよ!撃て!」

男が部下に命じる。

すぐさま乾いた銃声が2発響く。

だが──

「何!?」

倒れたのは部下の2人の方だった。

「お前が頭か?捜す手間が省けた」

明空は素早い動作でレミントンM700ライフルから空薬莢を排莢し、銃口をピタリと男に向けた。

だがニッコリ微笑むその顔は、明空のものではない。

少女らしいあどけなさは消え、老練な兵士のような冷徹な眼差しで男を射すくめる。

「小僧、阿修羅の古き意味を知っているか?」

「ひぃ!?」

「“命”だ」

有無を言わさず引き金を引くと社長は『ギャア!?』と悲鳴を上げて、あっさりと倒れ伏す。

「この程度の技量か……?我が名を騙る不届き者めが……」

明空は小さく呟くとそのまま気を失った。