「はあ⁉ いい加減にしてよっ! 真剣に告白しているのにはぐらかすのはもうやめてよね!」


 怒気のはらんだ声で言う。嘘をついているようには全く見えない。今日の彼女の態度から考えるとすでにその望みは薄かったけれど、どうかそうでありますようにと俺は神に祈っていたのだった。
 
 だがこの瞬間、俺の希望が消滅してしまった。

 どうやら本当に、心から、本気で、麗華は俺に愛の告白をしたらしい。


「……品行方正で成績優秀、家柄も完璧な麗華様が、ちゃらんぽらんな俺を好きになる要素なんて一ミリも存在しないと思うんだよ。だから罰ゲームだと思っても仕方なくない?」

「私だってねえ! なんであんたなんか好きなのか全然分からないわよ! でも好きになっちゃったんだもん! 悪い⁉」

「いや、悪いことは無いですけど」


 相変わらず何やら怒ってはいるが、麗華ほどの美少女に好きだと言われるのは、いい気持ちがまったくしないと言ったら嘘になる。

 しかしやはり、何故俺なんかを好きになったのだろう、このお嬢様は……という不信感が拭えない。何か裏があるのではないか、と。

 すると麗華はギリギリと唇をかみしめた後、俺を半眼で見据えながらこう言った。


「私が好きなのはもっと完璧な男性のはずなのに……。あなたみたいな軽薄そうで人生なめきったような態度の輩なんて、私がもっとも憎むべき人種のはずだわ!」

「お、おう」