昨日の奇妙な麗華の行動は、罰ゲームの類だと結論付けた俺だったが、少しの可能性を考えて、安全のために学校はサボろうかと目論んだ。

 しかし、今まで調子こいてサボりすぎたせいで、これ以上やらかすと留年が見えてきてしまう。刹那の欲望を第一にしている俺でも、さすがに留年は避けたい気持ちがあった。

 だから渋々俺は、一時間目の授業に間に合うように真っ当な時間に登校した。――すると教室に入るなり、麗華が俺を睨みつけながら近づいてきた。


「ちょっと旭くん。昨日は何逃げ出してんのよ。失礼極まりないわね!」

「……そういう乱暴な物言いが逃げ出す理由なのですが」

 俺は頭を抱えながらかすれた声で言った。軽い罰ゲームだったとしたら、昨日のことは昨日のあれで終わるはず、という考えは甘かったようだ。

 どうしてもこなさなければいけない罰ゲームなのか、それとも……。


「それに居留守まで使うなんて!」

「⁉ 何故それを!」

「あなたのお姉さんにいないって言われた後、念のため外で家の様子を見ていたら、すぐにあなたの部屋に電気がついたからよ!」

「……つっこみどころが多すぎる」


 俺の部屋の位置まで把握しているのが、何よりも恐ろしい。過去に俺の自宅について調査しているということに他ならないではないか。
 

「なんでそんなことするのよ! 乙女の愛の告白をスルーしようだなんて、最低よっ! 一体何を考えているの⁉」

「えっ……。いや、あの……」