そんな絵にかいたような不真面目な俺を、真面目に勉学にもスポーツにも励んでいるお嬢様の麗華が、パッと見で毛嫌いするのは致し方ないだろう。

 俺と麗華の関係にはそんな前提があった。――だから。

 なんで俺が、その麗華様に愛の告白をされているのかが、まったく持って理解できなかったのだった。


「ちょっとよくわからない。なんで俺なんかを、完璧美少女でお嬢様の麗華さんが好きになるわけ?」

「私だってわからないわよ! どうしてくれるのよ⁉」


 純粋な疑問を呈すると、麗華は俺をぎろりと睨みつけながら、迫る様に言ってきた。あ、怒った表情も素晴らしく美しいです、どうせならそのまま踏んでくださいと思ってしまった。

 しかし、本当にまったく意味が分からない。そしてなんだか怖い。なんなんだ、この状況。


「そういうことで、旭くんには責任をとってもらうわ」

「責任……?」

「私を好きにさせたんだから、当たり前じゃないの。今日から旭くんは私の恋人よ。今までのような不真面目な生活態度は、私の恋人としては断固許せないわ。その変な色の髪も、制服の着方も、真っ当なものに直してよね。それから」

「え、あの、ちょっと」


 勝手に話を進めだす麗華に、俺の恐怖は本格的なものへとなっていった。

 一体なんなんだ、このお嬢様は。何が狙いなんだ。俺のことを好きだと本人は言っているけれど、実際にはあり得ないはずだ。何が目的なんだ。

 怖い、怖すぎる。