麗華の言葉を遮って俺は言う。すると彼女は、案の定赤面した。普段は自分本位極まりないが、こういった部分だけは操作がしやすいことに、思わずかわいさを覚えてしまう。
「もう……! 本当にあなたは! 馬鹿! 変態! 消滅しろ!」
キッと俺を睨みつけて、罵詈雑言を浴びせてくる流れ。久しぶりのこの展開に、不覚にも懐かしさを覚えてしまう。
セバスチャンは微動だにしないままだった。お嬢様を激高させたことで、暗殺でもされないか少し心配だったのだが、きっと麗華に命令されない限り彼は動かないのだろう。執事の鏡だ。
そして麗華はぷいっと俺から顔を背けて、踵を返して歩き始めた。久しぶりの交流だというのに、相も変わらず卑猥なことを連想させるような流れにしてしまったから、怒らせてしまったのだろう。
と、思った俺だったが。
彼女はぴたりと立ち止まった。そして恐る恐るといった様子で振り返る。相変わらず頬を赤くしていたが、目つきの鋭さはなくなっている。
「……少しなら。い、いいわよ」
か細い声で、お嬢様らしくなくたどたどしくそう言うと、俺が何かを言う前に再び歩き出してしまった。そんな俺にセバスチャンが「引っ越しの挨拶品です」と言って、押し付けるように紙袋を渡す。そして彼は玄関ドアを閉めて去ってしまった。
ひとり家の中に取り残された俺。やたらと静寂を感じた。少しの間の後、急におかしくなった俺は一人で声をあげて、腹を抱えて笑った。
「もう……! 本当にあなたは! 馬鹿! 変態! 消滅しろ!」
キッと俺を睨みつけて、罵詈雑言を浴びせてくる流れ。久しぶりのこの展開に、不覚にも懐かしさを覚えてしまう。
セバスチャンは微動だにしないままだった。お嬢様を激高させたことで、暗殺でもされないか少し心配だったのだが、きっと麗華に命令されない限り彼は動かないのだろう。執事の鏡だ。
そして麗華はぷいっと俺から顔を背けて、踵を返して歩き始めた。久しぶりの交流だというのに、相も変わらず卑猥なことを連想させるような流れにしてしまったから、怒らせてしまったのだろう。
と、思った俺だったが。
彼女はぴたりと立ち止まった。そして恐る恐るといった様子で振り返る。相変わらず頬を赤くしていたが、目つきの鋭さはなくなっている。
「……少しなら。い、いいわよ」
か細い声で、お嬢様らしくなくたどたどしくそう言うと、俺が何かを言う前に再び歩き出してしまった。そんな俺にセバスチャンが「引っ越しの挨拶品です」と言って、押し付けるように紙袋を渡す。そして彼は玄関ドアを閉めて去ってしまった。
ひとり家の中に取り残された俺。やたらと静寂を感じた。少しの間の後、急におかしくなった俺は一人で声をあげて、腹を抱えて笑った。