自信満々に言う。俺はしばしの間呆気に取られ、あんぐりと口を開けて麗華を見つめた。長いまつ毛をくるりとカールさせた、黒目勝ちの瞳には意志の強そうな光が湛えられている。
その全く揺るがなそうな麗華の様子を見ていたら、急におかしくなって、俺は笑い出したてしまった。彼女は相変わらず、不敵そうな笑みを浮かべて俺を見ていた。
「あの時春香さんの墓が倒れたでしょう。あれってきっと、私への宣戦布告だと思うの」
「え?」
春香の名前が出てきて、さすがに俺は笑うのをやめた。そんな俺を、麗華は射貫くように強く見つめて、こう言った。
「『私から取れるものなら取ってみなさい』って。春香さんはきっと、そう言っていたと思うの」
何言っているんだこのお嬢様は。……と思ったのは一瞬だった。
確かにそう思えてしまったのだ。春香は常に明るく、前向きで、強い女性だった。
春香が俺を道連れにしようだなんて、絶対にありえない。恋敵に真っ向から勝負を挑む方が、いかにも春香らしいのだ。
「……というわけよ。だから私はいずれあなたを春香さんから奪って、恋人にするの。もうこれは決定事項よ。だから今のうちから私の恋人になる準備をしていた方がいいわよ。まずは美容院ね。それから会員制の高級ジムへ通ってもらって……あ、会費は援助するから心配しないで。それから……」
「何度も言っているけど。俺が君のそういうお願いを聞くとしたら、俺のお願いも聞いてくれるの?」
その全く揺るがなそうな麗華の様子を見ていたら、急におかしくなって、俺は笑い出したてしまった。彼女は相変わらず、不敵そうな笑みを浮かべて俺を見ていた。
「あの時春香さんの墓が倒れたでしょう。あれってきっと、私への宣戦布告だと思うの」
「え?」
春香の名前が出てきて、さすがに俺は笑うのをやめた。そんな俺を、麗華は射貫くように強く見つめて、こう言った。
「『私から取れるものなら取ってみなさい』って。春香さんはきっと、そう言っていたと思うの」
何言っているんだこのお嬢様は。……と思ったのは一瞬だった。
確かにそう思えてしまったのだ。春香は常に明るく、前向きで、強い女性だった。
春香が俺を道連れにしようだなんて、絶対にありえない。恋敵に真っ向から勝負を挑む方が、いかにも春香らしいのだ。
「……というわけよ。だから私はいずれあなたを春香さんから奪って、恋人にするの。もうこれは決定事項よ。だから今のうちから私の恋人になる準備をしていた方がいいわよ。まずは美容院ね。それから会員制の高級ジムへ通ってもらって……あ、会費は援助するから心配しないで。それから……」
「何度も言っているけど。俺が君のそういうお願いを聞くとしたら、俺のお願いも聞いてくれるの?」