高級そうなレースたっぷりのワンピースをまとった麗華は、いかにも良家の令嬢らしい。色白で完璧な造形をしている彼女の魅力を、その一枚の布は存分に引き立てていた。
麗華は俺の隣に立つと、墓参りにふさわしい菊の花を、バラの隣に刺した。教養のあるお嬢様なのだからバラがマナー違反だということは存じているはずだが、そのことについては特に何の反応もない。
「私の家系のお墓もこの墓地にあるのよ」
俺が何も言わずにいると、麗華が話し始めた。
「この前のお彼岸に墓参りに来た時にあなたの姿を偶然見たの。いつも軽薄そうで、不真面目で、すべてに対して斜に構えたような態度を取るあなたのことは本当に大嫌いだった。なんだからよくわからないけれど、一度しかない人生を棒に振っているように見えた。視界に入れるのも嫌なくらいだった」
「ひでー言われようだなあ」
「だからお墓参りであなたの姿を見た時は、びっくりした。まずあなたみたいなちゃらんぽらんな人がお墓を参っていること自体が驚きだった。でもさらに驚いたのは、その時のあなたの顔」
「顔?」
「すごく……優しくて、愛おしそうだった」
そう言われて、俺は今日初めて麗華の顔を見た。彼女は無表情で春香の家の墓石を見ていた。何を考えているのかは、俺には見当はつかない。
「昨日、あなたの友達に『なんで旭のことを好きになったの?』って聞かれて考えてみたんだけど、きっとその時のあなたを見てからだったと思う。あなたに対して『嫌い』という感情以外の気持ちを持ったのは。初めはなんだか気になる……それくらいだった。だけど気になっていろいろ見ていくうちに、自分の胸が高鳴っていくことに気づいた。そしてその思いが抑えられなくなった。――そういうわけ」
「なるほどねぇ」
麗華は俺の隣に立つと、墓参りにふさわしい菊の花を、バラの隣に刺した。教養のあるお嬢様なのだからバラがマナー違反だということは存じているはずだが、そのことについては特に何の反応もない。
「私の家系のお墓もこの墓地にあるのよ」
俺が何も言わずにいると、麗華が話し始めた。
「この前のお彼岸に墓参りに来た時にあなたの姿を偶然見たの。いつも軽薄そうで、不真面目で、すべてに対して斜に構えたような態度を取るあなたのことは本当に大嫌いだった。なんだからよくわからないけれど、一度しかない人生を棒に振っているように見えた。視界に入れるのも嫌なくらいだった」
「ひでー言われようだなあ」
「だからお墓参りであなたの姿を見た時は、びっくりした。まずあなたみたいなちゃらんぽらんな人がお墓を参っていること自体が驚きだった。でもさらに驚いたのは、その時のあなたの顔」
「顔?」
「すごく……優しくて、愛おしそうだった」
そう言われて、俺は今日初めて麗華の顔を見た。彼女は無表情で春香の家の墓石を見ていた。何を考えているのかは、俺には見当はつかない。
「昨日、あなたの友達に『なんで旭のことを好きになったの?』って聞かれて考えてみたんだけど、きっとその時のあなたを見てからだったと思う。あなたに対して『嫌い』という感情以外の気持ちを持ったのは。初めはなんだか気になる……それくらいだった。だけど気になっていろいろ見ていくうちに、自分の胸が高鳴っていくことに気づいた。そしてその思いが抑えられなくなった。――そういうわけ」
「なるほどねぇ」