あれ、俺さっき好きだって言われてましたよね? なんでこんなに蔑まれるようなことを言われているんだろう。

 好かれてるんだから嫌われてるんだかよくわからなくなる。


「だから、昨日も言ったように私の恋人として恥ずかしくないようになってもらうわよ。今日はまず、その下品な金髪を黒く染めに美容院に行きましょう。カットもした方がよさそうね。そしてそのあとは社交界でのマナーを学ぶ講義を受けてもらうわ。それから英会話とフランス語と、中国語講座に行ってちょうだい」


 この人は何を言っているんだ。


「あのですね。それなら最初から、俺じゃなくてそういった素養のある素敵な殿方を見つけてくださいよ」

「うるさいわね! できたらそうしてるわよ! でも私はあなたを好きなんだから仕方ないでしょう⁉」


 恐る恐る苦言を呈すると、麗華はカッと目を見開いてさも当然のように自分の想いを主張する。

 ――昨日から今までの麗華の主張を総合すると。

 どうやら、麗華が俺を好きだというのは間違いないらしい。なんでそうなったのかは、全く分からないが。本人もあまり納得していないようだし。

 正直面倒だなあと思ってしまった。麗華は見た目だけなら最高なのだが、彼女のステータスを踏まえると厄介な女でしかない。良家のお嬢様に軽い気持ちで手を出そうものなら、黒服の殺し屋に俺は命を狙われてしまうのではないだろうか。