SNS上での頻繁なやりとりなんてホイル大佐としかしたことがなかったため、世間一般の言う“普通”がどんなものなのかは分からない。例えばどのくらいで返信が来るのかとか、一日に何回くらいやりとりをするのかとか、そういったことだ。
 もし自分の接してきた相手を基準とするならば、リプライは一分以内。やりとりは、相当頻繁。というのが“普通”ということになる。
 わたしの新しい友達、ぴかりんはホイル大佐もびっくりするほどに返事が早かった。不思議に思って聞いてみたら、授業中以外はいつもスマホを手放さないらしい。
 休み時間は特に速い。と言うわたしも負けてはいない。まあ、いつも一人で休み時間は過ごしているからね。友達と呼べる相手は隣のクラスの美香ちゃんと、何かと声をかけてくれる鈴木くん。そしてこのスマホだけ。
 こうしてわたしたちは、あっという間に心の距離を縮めていったのだった。

『早く土日にならないかな─』
『サリ子ってば気が早すぎ! まだ月曜だけど。笑』

 ぴかりんがどこに住んでいるのかは分からない。それでもわたしにとって彼女は、今や一番距離の近い友達のようになっている。

『学校が毎日休みだったらいいのになあって』
『どうして?』
『わたしがいなくても誰も気付かないだろうし』
『誰かに気付いてもらうために学校に行ってるの?』

 彼女の一言は、わたしの胸を強く揺さぶった。毎日何も考えずに学校へ行っていたけれど、何のために学校に行っているのか。それは決して、誰かに気付いてもらうためではない。コメントはさらに続く。

『誰も気付かない、ってことはないと思う。きっと誰かはサリ子のことを気にかけてる。だってサリ子は透明人間でも空気でもないんだから』

 じわりと心の奥が温かくなっていく。
 ──わたしは空気。
 ここ最近そうやって自分に言い聞かせていたけれど、多分わたしはずっと、そんなことはないよと誰かに言って欲しかったのだ。