「のんのーん! 急なんだけど、今日の撮影来れない?」

 日曜の朝、出かけようとメイクをしていれば西山さんから電話がかかってきた。
 今日はクラスの仲良しグル─プのみんなとテ─マパ─クに行く約束をしている。

「のんのんの順位がいま、投票でかなり上がってきててね。まだ結果発表は先なんだけど、来月号の特集に美香ちゃんとふたりで出てもらえないかなぁって思って」

 順位が上がってきているという事実に、憧れの美香ちゃんとの撮影。これって、これって……!

「大丈夫です! 行きます!」

 気付けばそう答えていた。大丈夫、みんなはきっと分かってくれる。絶対に分かってくれる。だって友達だから。いつも応援してるって言ってくれているから。
 グル─プメッセ─ジに今日行けなくなってしまったことと「ごめんね」というスタンプを送信すると、すぐにみんなから返事が届いた。

『大丈夫だよ! 頑張ってね!』
『応援してるよ~!』
『美香ちゃんによろしくね』

 ほら、やっぱりみんなわたしのことを応援してくれている。
 安心したわたしは、履いていた動きやすいジ─ンズをぽいっと脱ぎ捨てた。この間、撮影のときに買い取らせてもらった服を着て行こう。くるぶしまである長いワンピ─スを床に広げ、あわせる鞄とサンダルを横に並べて写真を撮る。いちまい、にまい、さんまいめ。このアングルならいい感じ。

『今日は撮影! がんばります!』

 のんのんで投稿すれば、ぴゅんぴゅんといいねが増えて、応援のメッセ─ジが届く。その中には、さっきメッセ─ジをやりとりしていた親友たちからの反応もあって、わたしは背筋を伸ばし家を出た。
 すっきりとした青空が広がっている。今日は、撮影日和だ。