「……離して」

「やだ!名前を呼んで?」

「……藤井くん」

「下の名前だよ(笑)」

「祐紀くん?」



「違うな……呼び捨てでもう1度」

「祐紀?」

「うん!」


俺は軽く抱いていた腕に力を入れた


「離してくれるって言ったでしょ(笑)」


「嬉しくて……」

耳まで真っ赤になっていた平野の耳に囁く

「……あずさ」


平野の手が耳を押さえる

俺は手の甲にちゅっと唇を付けた


平野はビクッとして顔を上げて俺を見た

まだ顔は赤くて恥ずかしそうにしていた


ちゅっ!


俺は触れるだけのキスを平野の唇に落とす



「えっ?何で?」


「付き合おう……」

「……私と?」

「うん!」

「嘘!?」

「本当」

「私は普通の子だよ?藤井くんみたいにモテる人となんて……」

「普通の何がいけない?俺だって普通だよ?っていうか呼び方戻ってる(笑)」


「あっ、慣れない……」

「笑ってよ、あずさの笑ってるところを1学期から見てきたんだ、今まで通りだと思うよ

メールしたり、カフェに行ったり、少し会う回数が増えるのと俺が甘えるのが増えるくらいかな?(笑)」