エズフは馬を走らせながら考えた。
ティム様もバカだよなぁ。
こんな貴重な石を俺に渡すなんて。
最初は王都へ行くのメンドクセーとしか思わなかった。
しかし、俺はすごくいいことを思いついてしまったんだ!!
このまま、バックレて不思議な石を高値で売ってやるのだ!!
「イヒヒ(゚∀゚)」


「なにをそんなに嬉しそうにしているんだい?」
「!?」
エズフは考え事をしている間に、いつの間にか盗賊に取り囲まれていた。
そして、あっという間に身ぐるみを剥がされてしまった。
「命だけは、取らないでおいてやるよ!」
そう盗賊に吐き捨てられて、馬も奪われ、置き去りにされてしまった。


「こんなのってあり?」
エズフが一人で虚しく呟いた。
しかし、誰からも返事は無かった。




「ティム、エズフさんから手紙が届いたわ。」
「そうか、ありがとう。しかし、もう王都へ着いたのか。やけに早いなぁ。どんだけ飛ばしたんだ。」
そう言いながら、ティムは手紙を開けた。
そして、手紙をポトリと落としてしまった。
「どうしたの?」
「エズフのやつ盗賊に襲われて身ぐるみを剥がされてしまったそうだ。馬も奪われたそうだ。」
「えっ!?エズフさん大丈夫なの!?」
「傷つけられたりはしてないそうだ。」
「良かったー!!」
「今は宿屋で保護してもらってるそうだ。私はエズフを迎えに行ってくるよ。」
そして、ティムはエズフを迎えに行った。



「ティム様ーーー!!ずみまぜんでしだーーー!!!こんなごどになってしまって、僕をクビにしてぐだざーいぃーーー!!」
「おいおい、泣くなよ。そんなことで……。私は別に気にしていないから。」
「なんでですがーーー??石も取られでしまっだのにーー!!」
「構わないさ。そんなもの。お前の命が取られなかっただけで良いよ。」
「なんで、そんなにやさしいんでずかー?」
「エズフに行けと言って一人で行かせたのは私だから、私の責任だよ。すまなかったな。浅はかだった私を許してくれ。」
「!!」
エズフはティムを裏切ろうとした自分が恥ずかしくなり、死にたくなった。
死ねば楽になる。こんな醜い自分がティム様の側にいては駄目だ。
「さあ、帰ろう。」
「駄目です!僕はティム様の側にいていい人間じゃない!!」
「何を言っているんだ?」
「僕はティム様の護衛にふさわしくない!!」
「「……私はな、ふさわしいとか、ふさわしくないとかそういう言葉が一番嫌いだ!!一体、だれがそんな言葉を作ったんだ!!ふさわしいとか、ふさわしくないとか他人にとやかく決められたくはない!!自分がそれで良いと思ったら、それで良いじゃないか!……とにかく、お前は私の護衛だ!文句あるか?」」
エズフは、うつ向いていた顔を上げ
「「ないです!!!」」
と叫んだ。