「国王陛下か……。分かった、頼んでみるよ。」
アベラード卿が答えた。




「お願いします!どうか国王陛下の力をお貸しください!!ペリゴール侯爵令嬢を助けたいのです!!」
アベラード卿が国王に頼み込んだ。
「うーむ……助けたいのは山々だが、私の方にもレオルーノから話が来ているんだ……。申し訳ないが、力を貸すことはできない。」
「「そこをなんとかお願いします!!ペリゴール侯爵令嬢を助けてください!!」」
アベラード卿は土下座をした。
「「止めてくれ!!!そんなことをされても困る!!!どうか顔を上げてくれ!!!」」
「「止めません!!!こんなことは国王陛下にしか頼めません!!!どうか、どうか、ペリゴール侯爵令嬢を助けてあげてください!!!」」
「「すまない!!レオルーノは我が国よりも遥かに軍事力がある国だ。そんな国と争うことになりでもしたら、多くの国民が犠牲になるだろう……。だから、この件から手を引いてくれ!!!」」
アベラード卿もそこまで言われてしまっては、引き下がるしかなかった。
そして、アベラード卿がトボトボと肩を落としながら廊下を歩いていると話し声が聞こえてきた。

「ティム様、結婚って良いですねー♪僕も結婚しようかなぁ……。」
「「エズフ!?相手いたのか!?」」
「あっ!?まだ相手がいなかったー!!!」
ドテーン!!!
「ティム様、大げさなリアクションをありがとうございます!ボケた甲斐があるなぁ~♪」
「……エズフ、ボーナス無しな。」
「ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ」




(ティム様とその護衛か……。そういえば、今、宮廷に戻ってきているとか言ってたな……。こうなったら、藁にもすがる思いだ!!)
「「ティム様、お助けください!!」」
「ん?誰だ?」
「失礼致しました。私、外交官のアベラードと申します。先日はティム様の大事な石を貸してほしい等と言い、申し訳ございませんでした。そのせいでティム様を危険な目に会わせてしまい、どう責任を取ればいいのか……。」
「外交官のアベラード卿か!いや、良いのだ。私ではなく、護衛のエズフが盗賊に襲われたのだから。私のことは気にしないでくれ。」
「僕もあの事があったから、剣術の鍛練を毎日するようになったのでアベラード卿には感謝しています。なので、僕のことも気にしないでください。」
「「ありがとうございます。なんてお優しいのでしょう!!」」
アベラード卿は二人の優しさに涙を流した。
「おいおい、泣かないでくれ!!というより、なにか私に助けてほしいことがあるのではないのか?」
「はっ!?そうでした!!実は、カクカクシカジカ……。」
「そうか、そんなことが……。」