温かい手のひらが、私の手を柔らかく握りしめる。
 大切にされている気分になり、心の中まで温まっていった。


「先輩と手を繋いでいると、何だか安心します」
「本当に? ……良かった」


 蓮先輩はどこか照れくさそうに私から目をそらす。


 でも……とふと思う。
 こんな状況を未琴たちに見られたら。先輩は困らないのだろうか。
 そういう関係なのかと誤解される行為なのに、先輩はそのまま次の館へ向かっていく。


『道が悪いから』

 それを理由に、未琴たちへ言い訳するつもり、なのかな……。


「千尋から『オオカミの森で待ち合わせる』って連絡来たから、僕たちも行こうか」


 先輩は私を促し、優しく手を引く。

 途中でレッサーパンダの可愛さに癒されながら、オオカミの森を探していると。
 真鳥が一人で白いフクロウの檻のそばに立っているのを見かけた。

 早く先輩の手を離さなきゃ……と焦りながら真鳥の方を見ていたら、不意に目が合った。