「ごめん。白坂さんが藤川に……いや、生徒会に興味があるなら、余計なことをしたよね」
「いいえ、全然興味ないです。正直、断る口実を思いつかなかったので助かりました」
「……そっか。それなら良かった。じゃあまた、放課後に」
柏木先輩は照れくさそうに襟足の辺りを撫でながら、私から目をそらした。
『大事な子』と言われて素直に嬉しかったし、先輩にとっての特別な存在に、少しでも近づけたのではないかと期待してしまった。
私は……、柏木先輩のことを好きになったのかもしれない。
教室へ戻ろうとする彼の背中を見つめながら、密かにそう思った。