もしも未琴みたいに、美人で誰とでも仲良くできる性格なら。
 椎名さんみたいに爽やかで明るくて、スポーツが得意なら。
 誰かに憧れてもらえる存在なら、もっと自信を持てたのだろうか。

 ……だけどそれは、今となっては言い訳だったのだと思う。
 努力して頑張っていれば、誰かが認めて応援したくなる。
 そんなことも気づかずに、ただ、嘆いて過ごしていた私。
 動かずに待つだけの人間で。何の努力もしないで自分を変えることを怠り、受け身でいたところで、誰も見つけてくれはしない。
 いつまでも独りで、うずくまっているだけ。



「元々知っている人間のことを判断するのは難しいね」
「はい……」
「その判断は千尋たちに任せることにして――結衣は、自分の心配もした方がいいんじゃない?」


 西の空を見つめていた先輩が、私の方へと視線を移す。


「……自分の?」
「三井たちから、嫌がらせは受けてない?」
「あっ、それはもう、大丈夫です。三井先輩とはその後すれ違うこともないし。最近、沢本君も話しかけて来なくなりましたから」


 今のところは特に問題なく、平和に過ごせている。
 それを伝えると、先輩はホッとしたように小さく息をついた。


「よかった……。また、自分たちを正当化して、何かしてくるんじゃないかと心配していたから」