一番思い出したくなかった、封印していた中学時代の記憶――。



『沢本ー。お前、こんなヤツのこと好きなの? 趣味わる~』

『はあ? こっちから願い下げだよ。好きになるわけないだろ、こんな――嫌われてる女なんか』


 私に好きだと言っていたはずの沢本君は、教室では私を嫌いだと軽蔑の眼差しを投げてきた。
 なのに、蓮先輩と私の仲が深まるにつれ、沢本君の行動はエスカレートしていった。

『どうして、あいつじゃないといけないんだよ……』

 騙されて、狭い体育倉庫に閉じ込められて。
 沢本君は、私の首に赤い痕をたくさんつけた。
 唇の近くにキスも……。




 ――顔を合わせれば、一言二言会話をする仲だった未琴と私。


『未琴、あの子と仲良いの? 嫌われてるらしいから、やめておきなよ』

『……えー? そうなの?』


 噂が広がった次の日から、未琴は私に話しかけてこなくなった。
 私がそばに行っても、目をそらしてあからさまに避ける。
 友達だったのは、何かの間違いだったとでもいうように。