「中学のときも同じ。白坂さんは沢本と繋がりがあったから、蓮の気持ちに答えられなかったんじゃないの?」
「……」
「せっかく蓮が告白してくれたのにね。その想いをもてあそんで、踏みにじった。蓮のことをこれ以上ないくらい傷つけた」


 どこからどこまでが真実なのか、真実でないのか。私には判別する術がない。
 過去の記憶は曖昧で、靄がかかっている状態だ。

 もう、蓮先輩の目は見れなかった。
 もし、彼がその話を信じてしまったなら、きっと軽蔑した表情を向けられる。


「蓮は知らないのかもしれないけど。白坂さんは中学時代、いじめられていたの」


 三井先輩は辺りを見回し、私の過去を語り始めた。
 蓮先輩も、椎名さんもいる前で……。

 私は怖くてうつむくしかなかった。
 耳をふさぎたくても、片手は沢本君に拘束されて使えない。


「男癖が悪いのが広まったのか、特に女子からの評判がよくなかったみたいで。周りの子から無視されていたんだよね、白坂さんは」


 どうして、私の過去を三井先輩が知っているのか……。
 彼女が喋るたびに、心臓が抉られていくような気がした。


「蓮は、こんな……嫌われていた女のそばに、ずっといるつもりなの?」