少し冷たい風を身で受け止めて歩く。
私の視界には自分の足が見えている。
その足は重くてなかなか前に進んでくれない。

 どうしてだろう。
そう心の中で思うと、まるで終わりのない校庭での持久走をしている気分だった。
走れば走るほど苦しくなるのと一緒で、考えれば考えるほど自分が勝手に追い込まれていく。

 やっとたどり着いたような気分でカフェに入る私。
それでもそこに私の待っている人はまだいなかった。
店員に通され席に着くと、歩いていた先ほどよりももっと強い苦しみが襲う。
私は一体、何をしているの?
この関係を続けていいの?
この関係がなくなったら私はどうしていけばいいの?
自問自答も成り立たない私の心の中。
それを止めるのはやはり一彦の顔……
「お待たせ」
 そう言って私の前に座る。静かな微笑みで迎える私の心に純粋な恋心はなかった。
私の中にあるのは罪悪感と、危機感だった。
「ごめん、最近忙しいから今日は早く帰るね」
 私が何も話し始めないうちから一彦は帰りの話をする。

 その先は普通の会話。
でもどこか寂しさを感じているのは確かだった。
いつも会っているときはこんな風に寂しさや罪悪感を感じていなかった。
どうしてこうなったんだろう……
私は話を聞いているようにしていたけれど、心の中ではずっとそのことしか考えていなかった。
すると不意に結月の顔と言葉が頭をよぎる。
こんな時まで思い出すことに複雑な気持ちを抱く。
でもそれは罪悪感や寂しさのように重く受け止める感情ではなかった。
それでもこれから先のことを全くわかることのできない迷路に迷い込んでいたのは確かだった。