今目の前にある状況を理解できないまま一言こぼれた。
「どういうこと?」
 私の視線はもちろん結月。
その結月は当然のように私を見て笑う。
「どういうことも何も俺は宇野結月。父親が宇野優人」
「そうじゃなくて」
 結月の態度は相変わらず生意気だ。
明るく笑って見せるその顔にも腹が立つ。
「あんた、大学生って言ってたじゃん」
「んーノリ?」
 わからない……
今のこの状況。そして余裕のその表情。
「ノリって高校生なのに合コンなんて優人さんに知られたら……」
「親父知らないし、合コンって言っても先輩に声かけられたから遊びに行く感覚で」
「あのねー。どんな先輩だかよく知らないし、あんたがどんな生活してるのか知らないけど、高校3年生でしょ?一番大切な……」
「わかった。わかった。でもさとみんウェディング関係の仕事してたんだ」
 私の話を真面目に聞く様子もなく、今まで通りのあだ名呼び。
優人さんや友美の面影が全くない。
だんだんと深まる警戒心と説教したくなるその態度。
一言だけでも説教してやろうかと思うほどだった。
「連絡先消さないでね」
 急に話を変えてくる結月。
どうしてそんなに私に興味があるのかわからない。
父親の知り合いを遊び相手にしているこの子は一体何なんだ。
「なんでよ。私と話していたって何にも……」
「さとみんと話したいから言ってるの」
 余計にわからなくなる結月の対応。
私は言葉も出なかった。
ため息を大きくついても笑顔を消さない結月を見ると同時に優人さんが「ごめんね」と戻ってきて優しい笑顔を見せる。
どうしたらこうなるんだ。と言いたいがグッとこらえて私は優人さんに笑顔を見せる。
先ほどまでの優しいカフェの雰囲気と優人さんの温かさがまるで感じられなくなった。
全部、結月のせいだ。結月に出会って私はおかしい……