「その夢の中では、同じように未来の自分がいたんですか?」
「いや、その時はいなかった。
 小学生の姿になった僕とユリナ、二人だけだったよ。
 二人だけの世界で、日が暮れるまでただ楽しく遊んでいた。
 色々と謎の多い世界だと思ったけど、当時の僕はそんなの気にも留めずにユリナとの遊びに夢中だった。
 でも何よりも不思議だったのが、その夢の内容が今でも昨日の事の様に思い出せるんだ。
 色褪せることなく、とてもただの夢だったとは思えない。
 だから彼女のお墓の前で思い出した時、もしかしたらあれは彼女の最後の願いが叶った瞬間だったのかなって思ったんだ。
 ノートにも書いてあった、夢の中でもいいから彼に会わせてくださいっていう、その願いが」
 まさか、そういうことなのか?
 今僕と彼女は同じ夢を見ていて、夢が覚めれば元の世界の記憶は戻るから再会の形はどうあれ叶ったことになる。
 夢の中で互いの記憶が失われているのは僕が彼女を恨んでいるかもしれないから、余計な感情を失くして再会をすることで楽しく終わりたかった。
 そうすることで互いの関係に終止符を打つ。
 でもユリナ、君は本当にそれでいいのか?
「僕は間に合わなかった。
 どんなに願っても時間を戻すことはできない。
 でも君は違う。
 元の世界に帰れば、まだ彼女は生きている。
 君はまだ、間に合うんだ」