「はぁー・・・」と深呼吸をするように息を吐き、乱れた思考を落ち着けるよう努める。
この世界に来て分からないことが多すぎて、メモでも取らないと忘れてしまいそうだった。
何の裏付けもない仮説ばかりが頭の中で形成され、それが正しいのかという判断材料もないので想像が膨らんでいく一方だ。
目を閉じてから二分後に開眼し、視界には白い天井が映る。
閉じる前と比べて捉える対象の色が鮮やかになった気がする。
少しは疲れが取れたのかもしれない。
椅子から立ち上がり、僕は本棚へと向かう。
何か面白い本でも置いてないかと指をさしながら探していった。
並べられた本のほとんどが題名を見る限り典型的な恋愛小説ものばかりだったが、一冊だけ明らかにジャンルの違う本が置かれていた。
その本は単行本で、文庫本ばかりが並ぶ中で大きさも突出して目立っていた。
本を手に取り、ざらざらな表紙を指でなぞる。
黒い表紙、裏面のあらすじを読むから察するに恐らくミステリー小説だろう。
題名と作者名は見たことも聞いたこともないしミステリー小説を特別好んでいるわけではないが、キュンキュンする恋愛小説を読むよりこちらの方が性に合っていると思った。
表紙を捲ると作者の概要欄と題名と作者名が印字されていた。
十八年前に新人賞を取ってデビューをし、それから何作も小説もの世に送り出している。
中には僕の知っている作品もあった。
椅子に戻ろうと立ち上がろうとした瞬間、本の隙間から紙切れが出てきてふわふわと空中を浮遊しながら床に落ちた。
何だろうと思い僕は身を屈めて破られたようなメモ用紙を取る。
細く小さな文字が数行に渡って綴られていた。
その内容を読んで、僕の中にあった様々な仮説は形を帯びあらゆる出来事の辻褄が合っていくような感覚があった。
〈みんな大嫌いだ。消えてしまえ。私にばかり不幸なことが起こる。こんなの理不尽だよ。私は幸せになったらいけないの?どうして全部奪われるの?そうだ、私と彼以外消えてしまえばいい。二人だけを世界に閉じ込めて、そこで永遠に過ごせたら幸せじゃないかな?そうだ、そうしよう。もう手遅れなら、どうにでもなってしまえ〉
この世界に来て分からないことが多すぎて、メモでも取らないと忘れてしまいそうだった。
何の裏付けもない仮説ばかりが頭の中で形成され、それが正しいのかという判断材料もないので想像が膨らんでいく一方だ。
目を閉じてから二分後に開眼し、視界には白い天井が映る。
閉じる前と比べて捉える対象の色が鮮やかになった気がする。
少しは疲れが取れたのかもしれない。
椅子から立ち上がり、僕は本棚へと向かう。
何か面白い本でも置いてないかと指をさしながら探していった。
並べられた本のほとんどが題名を見る限り典型的な恋愛小説ものばかりだったが、一冊だけ明らかにジャンルの違う本が置かれていた。
その本は単行本で、文庫本ばかりが並ぶ中で大きさも突出して目立っていた。
本を手に取り、ざらざらな表紙を指でなぞる。
黒い表紙、裏面のあらすじを読むから察するに恐らくミステリー小説だろう。
題名と作者名は見たことも聞いたこともないしミステリー小説を特別好んでいるわけではないが、キュンキュンする恋愛小説を読むよりこちらの方が性に合っていると思った。
表紙を捲ると作者の概要欄と題名と作者名が印字されていた。
十八年前に新人賞を取ってデビューをし、それから何作も小説もの世に送り出している。
中には僕の知っている作品もあった。
椅子に戻ろうと立ち上がろうとした瞬間、本の隙間から紙切れが出てきてふわふわと空中を浮遊しながら床に落ちた。
何だろうと思い僕は身を屈めて破られたようなメモ用紙を取る。
細く小さな文字が数行に渡って綴られていた。
その内容を読んで、僕の中にあった様々な仮説は形を帯びあらゆる出来事の辻褄が合っていくような感覚があった。
〈みんな大嫌いだ。消えてしまえ。私にばかり不幸なことが起こる。こんなの理不尽だよ。私は幸せになったらいけないの?どうして全部奪われるの?そうだ、私と彼以外消えてしまえばいい。二人だけを世界に閉じ込めて、そこで永遠に過ごせたら幸せじゃないかな?そうだ、そうしよう。もう手遅れなら、どうにでもなってしまえ〉