「早く行こうよ!何があるのかなぁー楽しみ!」
 僕が上を仰いでボーとしている間に彼女はいつの間にか両開きの重たそうな扉を押し始めていた。
 走って扉の前に近づき、取っ手を掴んで押すのを手伝う。
 大人の時でも重たいと感じていた扉だ。
 ひ弱な小学生二人では尚更そう感じる。
「よいしょ!」
 開いたわずかな隙間から僕達は室内へ飛び込む。
 冷やされた空気が室内に満たされており、熱気を帯びた体に浸透していくように冷ましてくれた。
 中に入ってまず目に入ったのがレディースファッションのアパレルショップだった。
 暖色のダウンライトが一定の間隔を刻んで一つ一つ設置され、それに照らされた白いタイルが光を反射して一帯が明るく輝いていた。
 マネキンには流行りのコーデなのか、カーキーワイドパンツと黒色のパンプスが着させられ腰に手を当ててモデルポーズをとっている。
 他の箇所も見渡してみるも、ほとんどが女性服や美容関係のお店が多く設けられていた。
 ここはレディースフロアなのだろう。
 我先に走っていったユリナはエスカレーターに乗って早く!とこちらに手を振っている。
 まだこういうファッション関係には興味がないのだろう。
 僕も彼女を追ってエスカレーターに乗り、めぼしい場所がないか上昇する度周りを見渡しながら探していく。
 上がる先にあるのはほとんどがファッション関係で、こんなにあっても仕方がないのではと思わずにはいられなかった。
 これだけ大きな建物を構えて、中にあるのは同じような類ばかりで味気がないように感じる。
 彼女も「あーあ、私にはまだ早い場所なのかな」と意外と遊べる場所が見つからなくて残念そうにしている。
 期待外れもいいところだろう。