結局そのすぐ後に彼女の両親は離婚し、彼女は母親と二人で暮らし続けていた。
 僕達は放課後になれば毎日の様にここに来て、夕日が照らし出す街の情景を眺めながら話し込んだ。
 彼女に思いを伝えたのもこの場所だった、ちなみにファーストキスも。
 僕が思いを振り絞って「木村さんの事が好きです」とストレートに告白すると、彼女は「ありがとう。ずっと待ってたんだよ」と涙目で笑いながら言い、つかさず僕に詰め寄って優しくキスをした。
 その時の喜びようといったら今でも忘れられない。
 人生の中でも数少ない、大切な願いが叶った瞬間でもあったから。
 恋が成就した日を境に僕達は互いの名前で呼び合うようになった。
 くすぐったくて気持ちの芯からじんわりと熱くなるような彼女との日々。
 そんな毎日が一生続いていくんだって、あの時は疑いようもなく信じていた。