放課後になる。
 呼び出された俺は、体育館の裏に、白い息を弾ませながら走っていった。
 女の子が真剣な顔をして待っていて、手袋をした手に何かを持っている。

 「あのね、これ。気持ちだから」

 そう言って手渡されたのは、どう見てもバレンタインチョコの可愛らしい包みなのだった。
 メッセージカード付である。

 はっと見ると、相手は真っ赤になって逃げていった。
 おさげ髪の、知的な感じの子だった。ど真ん中ではないが、好みの範囲には入っている。
 逃げていく時に短めのスカートからちらっと見えた、黒ストッキングのほつれも良かった。

 初勝利に、俺は粉雪が舞う中で、一人ガッツポーズをした。