雪月が縁側に向かうと、黒蓮が外を眺めて座っていた。
「あの、黒蓮様…。」
 黒蓮がゆっくりとこちらを振り返る。
「……。」
「…。」
「な、なんか喋ってください…!」
 沈黙に耐えられなくなり、雪月がそう言うと黒蓮はハッとしたように謝った。
「すまない。その、あまりによく似合っているから…。」
「~~っ。」
 顔も体も熱くて堪らないのに、その言葉で余計に火照りが増した。恥ずかしさで俯いていると黒蓮がそばに寄り、大切なものを包み込むように柔らかな頰に触れて微笑んだ。
「耳まで赤いな。」
 雪月は潤んだ瞳で黒蓮を見つめ返すことしかできなかったが、黒蓮も微かに?が紅潮している。もういっそ黒蓮の胸に顔を(うず)めてしまおうかと思っていると、黒蓮は「まだ言っていなかったな。」と呟いた。何のことかと聞く前に名前を呼ばれ口を噤む。
「雪月。」
 黒蓮は、雪月の首の後ろに手を回すと優しく引き寄せた。艶やかな髪が頰を擽る。そして耳元に唇を寄せた。
「愛している。」