(宴楽しかったなぁ。)
雪月は宴の余韻に浸りながら、黒蓮と並んで屋敷に向かっていた。叢雲や長庚の他にもたくさんの妖怪から祝い品を貰ったので、何かお返しに美味しいものを振る舞えないかと考えているうちに、古ぼけた鳥居が見えてきた。
鳥居を潜ろうとすると、足元に黄色い何かが落ちているのが見えた。屈んで拾い上げると、太短い茎に黄色の花弁が付いている。しかし枯れていた。
「これって…福告ぐ草ですよね。」
「ああ、なぜこんなところに…。」
福告ぐ草は屋敷の庭にも生えているが、毒性が強いため観賞用になっている。と言っても、この時期には山野に自生するので特段珍しいものではない。福告ぐ草は元日草ともいい、おめでたい花だ。花言葉は「祝福」。そこまで考えが至ったところで、雪月は自然と笑みが溢れた。落ちていたのではなく、故意的に置かれたものだと気づいたからだ。そしてそれは黒蓮も気づいたらしい。不器用な彼らしいやり方に。
「皆さんに祝福してもらえるって嬉しいですね。」
「そうだな。」
*
雪月は宴の余韻に浸りながら、黒蓮と並んで屋敷に向かっていた。叢雲や長庚の他にもたくさんの妖怪から祝い品を貰ったので、何かお返しに美味しいものを振る舞えないかと考えているうちに、古ぼけた鳥居が見えてきた。
鳥居を潜ろうとすると、足元に黄色い何かが落ちているのが見えた。屈んで拾い上げると、太短い茎に黄色の花弁が付いている。しかし枯れていた。
「これって…福告ぐ草ですよね。」
「ああ、なぜこんなところに…。」
福告ぐ草は屋敷の庭にも生えているが、毒性が強いため観賞用になっている。と言っても、この時期には山野に自生するので特段珍しいものではない。福告ぐ草は元日草ともいい、おめでたい花だ。花言葉は「祝福」。そこまで考えが至ったところで、雪月は自然と笑みが溢れた。落ちていたのではなく、故意的に置かれたものだと気づいたからだ。そしてそれは黒蓮も気づいたらしい。不器用な彼らしいやり方に。
「皆さんに祝福してもらえるって嬉しいですね。」
「そうだな。」
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