先程から数刻が経ったが、妖怪たちは飽きることなく宴を楽しんでいる。お祭りのような雰囲気に、雪月も焔がつい飲み過ぎてしまうという理由がわかった気がした。
(……あそこにいるのって、もしかして颪さん?)
紺色の着流しを纏った男が木にもたれかかってこちらを眺めている。しかしその身体にさらしは巻かれておらず、見た目は完全に人間の男だった。
雪月が近付こうとするとその男は軽く微笑み、瞬きをした瞬間にはもうその場から消えていた。見目があまりにも以前と異なるので颪本人かどうかは定かではないが、男から感じられた雰囲気には既視感があった。
「雪月、そろそろ帰ろ…どうかしたのか?」
「いえ、今行きます!」
(颪さんも来てくれてたのかな。牙鋭さんはいないみたいだったけれど…)
雪月は黒蓮の元へ向かいながら、もう一度木の方を見やったが、やはり誰もいなかった。
(……あそこにいるのって、もしかして颪さん?)
紺色の着流しを纏った男が木にもたれかかってこちらを眺めている。しかしその身体にさらしは巻かれておらず、見た目は完全に人間の男だった。
雪月が近付こうとするとその男は軽く微笑み、瞬きをした瞬間にはもうその場から消えていた。見目があまりにも以前と異なるので颪本人かどうかは定かではないが、男から感じられた雰囲気には既視感があった。
「雪月、そろそろ帰ろ…どうかしたのか?」
「いえ、今行きます!」
(颪さんも来てくれてたのかな。牙鋭さんはいないみたいだったけれど…)
雪月は黒蓮の元へ向かいながら、もう一度木の方を見やったが、やはり誰もいなかった。
