小さな木箱の中には、三日月と蓮の花が象られた簪と耳飾りが入っていた。どちらも意匠を凝らした装飾が施されている。特に目を引くのは、はめ込まれた二種類の石だった。簪には黒い石、耳飾りの方には白い石がはめ込まれているが、角度を変えて見ると、提灯の灯りに照らされたその石は虹色に輝いている。
「とても綺麗…これをお二人が?」
「石は長庚さんで簪と耳飾りは僕が作りました。」
「俺はさすがにこれが作れるほど器用じゃないからな。その石は幽世でしか手に入らないものだ。鬼神サマと一緒にいれば問題ないと思うが、石には邪気を祓う効果がある。」
(幽世にはこんな不思議な石があるんだ。)
雪月は目を輝かせながら簪と耳飾りを眺めた。
「簪は黒蓮さまに、耳飾りは雪月さまに、とご用意したのですが、気に入って頂けたようで良かったです。」
叢雲は無邪気に笑った。長庚も安心したように笑っている。雪月は自分たちのためにここまで気持ちのこもったものを用意してくれたことが何よりも嬉しかった。
「はい、ありがとうございます。大切にしますね!」
雪月は黒蓮にも早く伝えたい思いから周りを見回すと、ちょうど酔った妖怪の絡みから逃れてきた黒蓮が近くに来ていた。もう酔いはさめているようだが、全身から呆れと疲れが滲み出ている気がする。この後も多くの妖怪に絡まれることになるのは、言うまでもない。
「とても綺麗…これをお二人が?」
「石は長庚さんで簪と耳飾りは僕が作りました。」
「俺はさすがにこれが作れるほど器用じゃないからな。その石は幽世でしか手に入らないものだ。鬼神サマと一緒にいれば問題ないと思うが、石には邪気を祓う効果がある。」
(幽世にはこんな不思議な石があるんだ。)
雪月は目を輝かせながら簪と耳飾りを眺めた。
「簪は黒蓮さまに、耳飾りは雪月さまに、とご用意したのですが、気に入って頂けたようで良かったです。」
叢雲は無邪気に笑った。長庚も安心したように笑っている。雪月は自分たちのためにここまで気持ちのこもったものを用意してくれたことが何よりも嬉しかった。
「はい、ありがとうございます。大切にしますね!」
雪月は黒蓮にも早く伝えたい思いから周りを見回すと、ちょうど酔った妖怪の絡みから逃れてきた黒蓮が近くに来ていた。もう酔いはさめているようだが、全身から呆れと疲れが滲み出ている気がする。この後も多くの妖怪に絡まれることになるのは、言うまでもない。
