「雪月さまーっ。」
再び自分を呼ぶ声に振り返ると、叢雲が駆け寄ってきている。その後ろには長庚が歩いてきているのも見えた。
「叢雲く…さん。」
「ふふ、〝くん″でいいですよ。若返った気分です。」
「千歳超えのおじいちゃんだろ。」
「ちょっと、それは禁句ですよ。」
(叢雲くんと長庚さんて仲良かったんだ。)
「あ、そういえば長庚さん。傷の具合はどうですか?」
「あぁ、今回の件で俺を信仰する奴が増えて、治癒力も強くなったんだよ。」
そう言うと、長庚は自分の腕を軽く上げて見せた。腕の骨が折れていたと聞いていたが、すっかり治っているらしい。雪月は改めて神の力に驚きつつ安心した。
「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。でも治って良かったです。」
雪月は満面の笑顔を長庚に向けた。
「お前さぁ、そういう顔されると俺が鬼神サマに…あ、ほら…」
顔を顰めた長庚の視線の先には、さらに顔を顰めた黒蓮がいた。
「長庚さん、雪月さまに何かしたんですか?」
「するわけないだろ。なんか嫉妬されてるような…」
後半の長庚の声がよく聞き取れなかった雪月が聞き返そうとすると、その前に叢雲が口を開いた。
「僕は以前黒蓮さまに、表情が豊かになったと言いましたが、雪月さまも表情が豊かになりましたね。」
「そうですか?」
「ええ。なんだか活き活きとした表情をしてらっしゃいます。」
「自分では全然気がつきませんでしたが…皆さんのおかげだと思います。」
雪月は再び自然と笑みが溢れた。
「ま、笑顔でいるのが一番いいと思うぞ。周りもつられて笑顔になるし。」
「雪月さまは患者と心を通わせるのがお上手ですからね。以前とは違い、屋敷に雪月さまの笑顔を見に行く方も多いですし、喜ばしいことです。」
三人でしばらく会話をしていると、少し離れたところにいた黒蓮が三人の元へやってきた。しかし話しかけようとした瞬間、近くの酔った何人かの妖怪に絡まれた。
「黒蓮様ぁ。おめでとうございます。」
「あ、あぁ、ありがとう。」
「ほら、お酒飲みましょうよ。」
「いや、俺はまだ遠慮する。」
「そんなこと言わずに。」
すると、妖怪たちは黒蓮が先程酒呑童子から貰った徳利を素早い動きで手に取った。そして黒蓮に飲ませ始めたのである。
「ちょ、酒は…」
抵抗しながらも酒を飲まされた黒蓮の頬は、次第に赤くなっていった。
再び自分を呼ぶ声に振り返ると、叢雲が駆け寄ってきている。その後ろには長庚が歩いてきているのも見えた。
「叢雲く…さん。」
「ふふ、〝くん″でいいですよ。若返った気分です。」
「千歳超えのおじいちゃんだろ。」
「ちょっと、それは禁句ですよ。」
(叢雲くんと長庚さんて仲良かったんだ。)
「あ、そういえば長庚さん。傷の具合はどうですか?」
「あぁ、今回の件で俺を信仰する奴が増えて、治癒力も強くなったんだよ。」
そう言うと、長庚は自分の腕を軽く上げて見せた。腕の骨が折れていたと聞いていたが、すっかり治っているらしい。雪月は改めて神の力に驚きつつ安心した。
「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。でも治って良かったです。」
雪月は満面の笑顔を長庚に向けた。
「お前さぁ、そういう顔されると俺が鬼神サマに…あ、ほら…」
顔を顰めた長庚の視線の先には、さらに顔を顰めた黒蓮がいた。
「長庚さん、雪月さまに何かしたんですか?」
「するわけないだろ。なんか嫉妬されてるような…」
後半の長庚の声がよく聞き取れなかった雪月が聞き返そうとすると、その前に叢雲が口を開いた。
「僕は以前黒蓮さまに、表情が豊かになったと言いましたが、雪月さまも表情が豊かになりましたね。」
「そうですか?」
「ええ。なんだか活き活きとした表情をしてらっしゃいます。」
「自分では全然気がつきませんでしたが…皆さんのおかげだと思います。」
雪月は再び自然と笑みが溢れた。
「ま、笑顔でいるのが一番いいと思うぞ。周りもつられて笑顔になるし。」
「雪月さまは患者と心を通わせるのがお上手ですからね。以前とは違い、屋敷に雪月さまの笑顔を見に行く方も多いですし、喜ばしいことです。」
三人でしばらく会話をしていると、少し離れたところにいた黒蓮が三人の元へやってきた。しかし話しかけようとした瞬間、近くの酔った何人かの妖怪に絡まれた。
「黒蓮様ぁ。おめでとうございます。」
「あ、あぁ、ありがとう。」
「ほら、お酒飲みましょうよ。」
「いや、俺はまだ遠慮する。」
「そんなこと言わずに。」
すると、妖怪たちは黒蓮が先程酒呑童子から貰った徳利を素早い動きで手に取った。そして黒蓮に飲ませ始めたのである。
「ちょ、酒は…」
抵抗しながらも酒を飲まされた黒蓮の頬は、次第に赤くなっていった。
