「…今までどんだけ手加減してたんだよ。」
「牙鋭様!」
一部始終を黙って見ていた牙鋭はついに膝から崩れ落ちた。颪がすかさず駆け寄り、牙鋭を支える。
黒蓮は今まで攻撃されても躱したり強く注意したりする程度で、反撃したことはなかったのだ。牙鋭は黒蓮の力を見縊っていたことに後悔しながら、颪に向かって口を開いた。
「もうオレに仕えなくていい。こいつらと一緒に行くなり、一人で暮らすなり好きにしろ。」
「何故いきなりそんなことをおっしゃるのですか?」
「オレと一緒にいたら、綺麗な生き方はできねぇぞ。」
牙鋭は吐き捨てるようにそう言った。
「そんなもの自分が望んでいると思いますか??」
「…一つ言い忘れていたが、オレはお前に呪いなんかかけてないんだよ。」
「…え?」
「試したんだ。お前はいつでも逃げられたんだよ。逃げたら、追うつもりもなかった。」
「呪いなど関係ありません。自分はあの時から牙鋭様にお仕えすると誓ったはずです。」
「そうか……オレには勿体無かったな。」
そう言うと牙鋭は力なく笑った。牙鋭は他者に与える力は強いが、その力を己に向けることはできない。つまり神のように凄まじい治癒力は持たないのだ。
「牙鋭様!」
一部始終を黙って見ていた牙鋭はついに膝から崩れ落ちた。颪がすかさず駆け寄り、牙鋭を支える。
黒蓮は今まで攻撃されても躱したり強く注意したりする程度で、反撃したことはなかったのだ。牙鋭は黒蓮の力を見縊っていたことに後悔しながら、颪に向かって口を開いた。
「もうオレに仕えなくていい。こいつらと一緒に行くなり、一人で暮らすなり好きにしろ。」
「何故いきなりそんなことをおっしゃるのですか?」
「オレと一緒にいたら、綺麗な生き方はできねぇぞ。」
牙鋭は吐き捨てるようにそう言った。
「そんなもの自分が望んでいると思いますか??」
「…一つ言い忘れていたが、オレはお前に呪いなんかかけてないんだよ。」
「…え?」
「試したんだ。お前はいつでも逃げられたんだよ。逃げたら、追うつもりもなかった。」
「呪いなど関係ありません。自分はあの時から牙鋭様にお仕えすると誓ったはずです。」
「そうか……オレには勿体無かったな。」
そう言うと牙鋭は力なく笑った。牙鋭は他者に与える力は強いが、その力を己に向けることはできない。つまり神のように凄まじい治癒力は持たないのだ。
