「俺は植物と相性が良くてな。この釁隙…俺の作った結界の中は環境が良いらしく、どんな植物でも育つんだ。」
「そうだったんですか…。見たことのないお花がこんなにたくさん。」
「観賞用でもあるが、まぁあとは俺が食べるようだ。」
そう言うと黒蓮は手近な花を手に取ると、そのまま口に入れた。
「えっ⁉︎」
雪月は愕然として黒蓮を見つめた。
(まるごと食べられるお花なのかな。どんな味なんだろう…。)
「…あの、私も食べていいですか?」
すると今度は黒蓮が驚いて雪月を見つめる番だった。
「人はこの花は食べないと思うが…」
「えっ…。」
黒蓮は「お前は面白いな。」と笑いながら、また別の花を手に取った。
「これは忍冬の花だ。金銀花ともいう。秋から冬の茎葉は忍冬という生薬になるし、新芽や若葉は食用にもなる。」
そして、薄い黄色に色付いた花を雪月に差し出した。
「花筒の奥に蜜がある。これならお前もすぐに楽しめるだろう。」
雪月は礼を言って花を受け取ると、口に含んで静かに吸った。
「甘い…。それに良い香りもします。」
忍冬の花は上下に開き裂けていて、独特な形をしている。その花の形状のためか、生薬になるとは思えないし、まして食用になる部分があるようにも見えなかった。
「人間は食べられる花に限りがあるが、俺からするとほとんどの花が美味い。だが、そもそも神は何も食べなくても問題ないし、まして花を食べる者などほとんどいないから、他の連中からは変わり者扱いされているがな。」
「花をそのまま食べたことには驚きましたけど…私は黒蓮様のことが少し知れて嬉しいです。」
出会ったばかりの黒蓮のことを知れることは、雪月にとってとても嬉しいことだった。言い換えれば、初めて相手を知ることの楽しさを覚えたのである。
「……そうか。」
「あっ。薬草もたくさんあるんですね。こちらも全部黒蓮様が?」
雪月は目を輝かせながら問いかけた。
「ああ、薬草は自然に生えてきたものもあるが、多くは俺が外から持ってきたものだ。さっきの薬湯も、そこにある梔子の実を使って作った。今はまだ花が咲いているが。」
黒蓮の指差す先には、一重咲きの白い花が咲いていた。かすかに芳香がある。
「とても綺麗です。…でもなぜ薬草を?」
「そうだったんですか…。見たことのないお花がこんなにたくさん。」
「観賞用でもあるが、まぁあとは俺が食べるようだ。」
そう言うと黒蓮は手近な花を手に取ると、そのまま口に入れた。
「えっ⁉︎」
雪月は愕然として黒蓮を見つめた。
(まるごと食べられるお花なのかな。どんな味なんだろう…。)
「…あの、私も食べていいですか?」
すると今度は黒蓮が驚いて雪月を見つめる番だった。
「人はこの花は食べないと思うが…」
「えっ…。」
黒蓮は「お前は面白いな。」と笑いながら、また別の花を手に取った。
「これは忍冬の花だ。金銀花ともいう。秋から冬の茎葉は忍冬という生薬になるし、新芽や若葉は食用にもなる。」
そして、薄い黄色に色付いた花を雪月に差し出した。
「花筒の奥に蜜がある。これならお前もすぐに楽しめるだろう。」
雪月は礼を言って花を受け取ると、口に含んで静かに吸った。
「甘い…。それに良い香りもします。」
忍冬の花は上下に開き裂けていて、独特な形をしている。その花の形状のためか、生薬になるとは思えないし、まして食用になる部分があるようにも見えなかった。
「人間は食べられる花に限りがあるが、俺からするとほとんどの花が美味い。だが、そもそも神は何も食べなくても問題ないし、まして花を食べる者などほとんどいないから、他の連中からは変わり者扱いされているがな。」
「花をそのまま食べたことには驚きましたけど…私は黒蓮様のことが少し知れて嬉しいです。」
出会ったばかりの黒蓮のことを知れることは、雪月にとってとても嬉しいことだった。言い換えれば、初めて相手を知ることの楽しさを覚えたのである。
「……そうか。」
「あっ。薬草もたくさんあるんですね。こちらも全部黒蓮様が?」
雪月は目を輝かせながら問いかけた。
「ああ、薬草は自然に生えてきたものもあるが、多くは俺が外から持ってきたものだ。さっきの薬湯も、そこにある梔子の実を使って作った。今はまだ花が咲いているが。」
黒蓮の指差す先には、一重咲きの白い花が咲いていた。かすかに芳香がある。
「とても綺麗です。…でもなぜ薬草を?」
