「はじめまして……?」

訝しげな表情で私に問いかける結くん。

「あっ……ぼーっとしてました……!」


私が焦って答えれば、口元をゆるめていつもみたいに微笑んでいた。

その顔を見た瞬間、流さないと決めていたものが流れてきて。

あぁ、なんで泣いちゃうのかなぁ。ぜったい不思議そうな顔されちゃうじゃん……。


きみがそうやって笑ってくれるなら忘れられても平気。

むしろ、忘れてくれてよかったのかもしれない。


それでも涙は止まらなくて。

悲しいからじゃない。笑ってくれてうれしいから。

だいすきなきみが笑っていてうれしいから。

きみの笑顔がだいすきだから。




「どうかした……?」

「会えたのがうれしくて……!はじめまして!七瀬 咲雪です……!」

「咲雪……?」


きみが何度も呼んでくれた名前。

「うん……!」

「かわいい名前だね。よろしく」


『咲雪って名前かわいいな、似合ってる』




明日の世界にきみの笑顔がありますように。

それは私にとってとてもしあわせなことだから。




明日の世界がきみの笑顔で溢れるように。

明日の世界が私の笑顔で溢れるように。


これからの世界がふたりの笑顔で溢れるように。




今日もふたりで歩んでいこう。




end