私はずっとひとりで突っ走って、きみを笑わせたいと思えば思うほど大切なことを見逃してしまって。

ひとりじゃダメなんだ……ふたりで歩かなきゃダメなんだ……。



私はきみの柔らかい髪を撫でた。


『忘れても大丈夫だよ』

忘れられるのがこわくないなんて、思わない。

想像する以上なのかもしれないけれど。



『思い出なんていくらでも作れるよ。これからだってたくさんたくさん作れるよ』


きみが忘れてしまっても、私は覚えてる。

あんなことがあったんだよ、こんなことがあったんだよって私が伝えるから。

今日みたいに言い合いする時もあるかもしれない、意思疎通できない時もあるかもしれない。

でももう大丈夫。私はきみのとなりをゆっくりゆっくり焦らないで歩いていく。


『私はぜったいにいなくならないよ』

今伝えてもいいかな……？

私は顔を上げて君を見た。ふたつの視線がぶつかる。