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お風呂はいつもすずと入っている。
というのも、柴原さんの帰りは遅く私が入れざるを得ないからだ。それにすずも赤ちゃんではないから、私が洗っている間もちゃんと待っていられる。もちろん、すずの行動を監視しながらささっと洗うだけだけど。

一人のときはのんびり入浴タイムで時間も気にせず入っていたけれど、今はそうもいかない。
のんびり入浴タイムなんて夢のまた夢だ。

「すず、肩まで入って」

「あついー」

体を温めてあげるのも一苦労。
すぐに出ようとするのだ。
湯船にお湯をためるのさえもったいない気がしてくる。

お風呂上がり、体を拭き終わったすずは「キャー!」と笑いながら裸で走りだした。

「すず、パジャマ着て!」

私は自分を拭くのもそこそこに、すずのパジャマとおむつを持って慌てて追いかける。
と、ちょうどリビングの扉が開いた。

「あ、パパー!」
「き、きゃあああああ!」

すずの黄色い声と私の悲痛な悲鳴がリビングいっぱいに響き渡った。

だって私も裸で追いかけていたから……。