夕食が出る頃、柴原さんがすずを連れてやってきた。その顔には若干の疲れが見え、思わず同情してしまう。

「ねえねー!」

「すず、お利口さんにしてた?」

「うん!」

病室に響き渡るような立派な返事だったけど、柴原さんはため息まじりに苦笑していた。

「すず、ご飯食べた?」

「たべてないよ。ねえねとたべゆの」

すずは柴原さんが掲げているコンビニの袋をもぎ取ると、中からおにぎりやサンドイッチ、ラムネやグミをベッドの上に広げた。

「すずが、どうしても君とご飯が食べたいって」

「すず、お菓子も買ってもらったの?」

「うん!」

「ちゃんとありがとう言った?」

「ありあとー!すずねー、ラムネたべゆね」

「ダメだよ。お菓子はご飯食べてからでしょ。ねえねと一緒にご飯食べるんでしょ?」

「たべゆー!」

すずはベッドの脇でピョンピョンとテンション高めだ。思った以上に元気そうでよかった。大人は一日でこんなにぐったりしてしまうのに、子供はけろっとしている。すずの順応力の高さは姉譲りかもしれない。