「すずの緊急連絡先に俺の会社の電話番号を書いてただろ?」
「え?あ、ああー」
確かに、すずの保育園に提出する書類の緊急連絡先に柴原さんの会社の電話番号を書いた。緊急連絡先は最低でもふたつ書かなくてはならず、ひとつは自分の携帯、もうひとつを柴原さんにしていた。
なぜなら私には頼れる身内がいないからだ。
姉は音信不通。
母は他界。
父は疎遠。
悩んだ私はカバンの中にぐしゃぐしゃになった柴原さんの名刺を発見し、苦し紛れにそれを書いて提出した。仮にも父親なんだから電話番号くらい差し出せよという、怒りを込めての記入だった。しかもその緊急連絡先は、すずの保育園に持っていくカバンにキーホルダーのように付けておかなければならないルールになっている。まさかこんな形で緊急連絡先が使われようとは、思いもしなかった。
柴原さんの表情からして、さぞかし迷惑だっただろう。
「あの、すみませんでした」
「悪かった」
私たちは同時に頭を下げた。
けれど柴原さんの言葉に、私は驚きのあまり目をぱちくりさせた。
「……え?」
今、なんて???
「え?あ、ああー」
確かに、すずの保育園に提出する書類の緊急連絡先に柴原さんの会社の電話番号を書いた。緊急連絡先は最低でもふたつ書かなくてはならず、ひとつは自分の携帯、もうひとつを柴原さんにしていた。
なぜなら私には頼れる身内がいないからだ。
姉は音信不通。
母は他界。
父は疎遠。
悩んだ私はカバンの中にぐしゃぐしゃになった柴原さんの名刺を発見し、苦し紛れにそれを書いて提出した。仮にも父親なんだから電話番号くらい差し出せよという、怒りを込めての記入だった。しかもその緊急連絡先は、すずの保育園に持っていくカバンにキーホルダーのように付けておかなければならないルールになっている。まさかこんな形で緊急連絡先が使われようとは、思いもしなかった。
柴原さんの表情からして、さぞかし迷惑だっただろう。
「あの、すみませんでした」
「悪かった」
私たちは同時に頭を下げた。
けれど柴原さんの言葉に、私は驚きのあまり目をぱちくりさせた。
「……え?」
今、なんて???