「えーっと、あの、すずは?」

「……ここで寝てるよ」

柴原さんの目線の先、私のベッドより一段低い簡易ベッドで、すずはすやすやと寝息を立てていた。

「よかった」

すずの姿が確認できて私はほっと胸を撫で下ろす。見た感じ怪我などもなさそうだ。

柴原さんは立ち上がると、私の肩を押してゆっくりとベッドへ寝かす。

「あの……」

「大人しく寝ていてくれ」

「はあ。……じゃなくて、柴原さんが助けてくれたんですか?」

「いや、倒れたところを近所の人に発見されて救急車で運ばれたそうだ」

うわー、まさかの救急車で運ばれたとは。
近所の人もさぞかし驚いただろう。

「えっと、じゃあ柴原さんは何でここに……いる……んです?」

私の問いかけに、柴原さんは鋭い目つきで睨んでくる。迷惑そうなのがひしひしと伝わってきて、私は胸がぎゅっとなった。
別に私が呼んだわけでもないし、そんな顔をされると精神衛生上よろしくないので一刻も早くお帰り願いたい。