姉が母子手帳に成長記録をしっかりメモしてくれていたおかげで、私はページを捲るだけで問診票を難なく記入することができた。

母子手帳には妊娠期間中の記録や予防接種の記録など、母親とすずの情報が満載だ。後ろの方には赤ちゃんの月齢による成長度合いなども書かれている。

最初のページはいきなりフリースペースで、そこには姉の字ですずの出産の思い出が事細かに書かれていた。

“すごく痛かった”
“終わりが見えなかった”
“破水はパンと風船が割れるみたい”
“胎盤が出たときようやく産み終わった気がした”
“すずもよく頑張ってくれた”
“すずに会えて嬉しい”

姉の出産に対する気持ちがたくさん書かれていて、姉がその時何を思っていたのか知ることができる。

パラパラと捲っていくと、月齢に合わせてまた姉のメモが書かれている。

“あー、うー、喃語が出るようになった”
“バナナが好き”
“りんごはすりおろしじゃないと食べない”
“名前を呼ぶとはーいと手をあげることができるようになった”
“人形遊びにハマっている”


その時のすずの様子がたくさん書かれている。
私はこれを参考にすずを育ててきたといっても過言ではない。