「記録を残すということは後世まで(おも)いを遺すということです。

記録を再生するたびに今夜の出来事を、貴方たちは何度も思い出す。

そう、何十回も何百回も。

そして、心に刻み込む。

恐怖や苦痛を……。

そして、心に刻み込んだ《念い》はやがて貴方たちの中で息を吹き返す。

貴方たちのお祖父さまがとうとう《野獣》に変わり果てたように──」

【店長】は諭すように家族全員に説明すると、改めて少年をじっと見つめる。

彼女は少年が背中に隠した物を自主的に差し出さないか、と辛抱強く待っているようだった。