「あの人さ、いい人だよ、きっと」

「うん?どっちの人だい?」

「あの銀髪の女の人」

「ああ、店長さんの方か?まだ、22、23歳くらいだろ?

あの若さであっちが質屋の店長で、眼鏡の男の人が鑑定士で、そのうえ質屋の店長代理なんて何だか凄いな」

父親は心底感心して唸った。

「あの女の人さ、泣いてたんだ……」

「え……!?いつ……?」

「俺にスマホ出せって言った時……」

あの時、確かにあの人は泣いていた──

深い夜空のような藍色の瞳は、しっかりと少年を見据えながらも、その瞳は哀しみに揺れていた。