「私たちができるのはここまでです。どうぞ、これからはお祖父さまをいたわって差し上げてくださいね」

滴草の話を引き取って、久慈は軽く頭を下げると、滴草とともにこの邸宅を後にしたのだった。

「あんまり感じのイイ人たちではなかったけど、よくやってくれたよな。

それにしても父さんは何だか、まだ夢を見ているみたいだなぁ」

父親はしんみりと少年に語り掛けた。