「現在は《夢買い》こそしていませんが、滴草さんは夢見のカウンセリングもなさっていますからね。立派だと思います」

久慈は運転しながも本気で感心しているように頷いた。

「もう、この景徳鎮、捨てちゃいましょうか!?さっきの家族のことを考えていたら、何だか腹が立ってきました!」

久慈が自分を慰めてくれるのはうれしい。

だが、両手は相変わらずズキズキ痛む。

膝に置かずに後ろの座席に景徳鎮を置けばよさそうなものだか、高価な割れ物であるからそれもできない。

こんな厄介者、いっそ捨ててしまいたい!

滴草の苦労を考えれば無理からぬことだ、と久慈は思った。

彼女は、サイコメトラー。

物に宿る人の想いや感情を感じ取れる特異者なのだから──