「こんな話はどこに相談していいかわかりませんからね。いわくつきのお品を買い取ったうえに、“事件”そのものも解決するのはうちだけですから。口コミで当店の噂が広まっているのでしょう」

「迷惑な話です。うちは真面目な質屋稼業なのに、お祓い屋さんや拝み屋さんと同じに思われています。いわくつきのお品も本当は買い取りなんかしたくないんです」

【店長】は白い手袋をはめた右手を見つめる。

「……痛みますか、滴草(しずくさ)さん」

久慈は初めて彼女の名前を呼んだ。