麒麟(きりん)とは王が仁による政治を行う平和な世の中に現れるという中国の伝説上の霊獣である。

大変めでたい瑞獣であり祖父もたいそう気に入っていた。

しかし清時代の本物の景徳鎮ともなれば大変高価であり、1000万円を超えるものもある。

しかも景徳鎮はそれだけに贋作が驚くほど多い。

やはりと言うか、息子と嫁は購入に大反対した。

何せ器ひとつに1000万円である。

『どうせ偽物だ!』

『じいちゃんは騙されてるに決まってる!』

と家族全員の大合唱が始まった。

こうなるとこの家の祖父も引くに引けない。