「あの家族にしてみればそれほどの深刻さもなく、何かのお祭りかイベントのような高揚感があったのでしょう。

だからこそ、お祖父様の変容を目の当たりにして腰を抜かした。

気の毒といえば気の毒ですね」

「……久慈さんは優しいですね。私はあんな人たち、大っ嫌いです。お祖父ちゃんはきっと寂しかったんですよ。

だからこそあんな──」

「その寂しさに付け込まれた……。私もその点は同感です」

変容が起こる以前から、あの家の祖父は家族から疎外されていたらしい。